人物描写がなってない
例によって出張中に読んだ本から、だが・・・。
出張前に本を仕入れに行ったときに目についたのが、ちくま学芸文庫の「クルーグマン教授の経済入門」(ポール・クルーグマン/山形浩生 訳)。やっぱりノーベル賞はエラい、ということで買ってきたのだが、内容以前に訳がなぁ。
原著がくだけた文体で書かれていることを根拠にして、訳のほうもくだけた文体になっているのだが、私からみた問題は語尾や語調に統一が取れていないこと。口語調で訳すのが悪いとは思えないが、これだけバラバラだと、話者を精神分裂症(といっても詳しくは知らないけど・・・)かお調子者に見せたいのかと思ってしまう。本全体の「口調」の印象から判断して、ご当人が「・・・なの。」とか、「・・・なにしとったんじゃ!」などと言うとは思えない。
一方で、ジャンクボンドの帝王と言われているマイケル・ミルケンという人が、「いや、格付け低くても実は予想外に返せてますよ、利回りも高いし最高っす」という発言をしている(ことになっている)が、これはあまり気にならない。多分一回しか出てこないからだろう。
落語で「人物描写」が大切という。こちらは面白ければいいじゃん、くらいにしか思っていなかったが、この本を読んでみると、確かにつまらないところで集中力が殺がれる。
面白さを狙った文体を作り出すというのは、普通に訳すのに比べて何倍も難しいし、なによりもセンスが問われるはずである。センスがなければ悪ふざけになってしまう。別の本で、落語を面白くするコツは、「(もともと噺が面白くできているのだから)面白くやろうと思わないこと」というのを読んだところだったので、なるほどなぁと思った。
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